今回は、『両建て』についてお話します。
ロングとショート、どちらのポジションも持つ『両建て』
両建てとは、1つの通貨ペアでロングとショートのポジションを持つことを言います。
ロングとショート、両方向へのポジションを持つことで差益(含み益)と差損(含み損)が相殺されます。
両建てのメリットとは
両建ての最大のメリットは差益と差損を相殺できるため、損失を限定的できる点でしょう。
例えば、1ドル100円でロングポジションを持ったが相場は下落し、1ドル99円になってしまった。(100pipsマイナス)
この時、ロングポジションと同量のショートポジションを持ちます。(両建て)
これにより、1ドル99円以下へ下落してもロングポジションででた含み損の分だけ、ショートポジションで利益が出るため、100pips以上の差損はでないのです。
ただ、注意点としては、1ドル99円から上昇してロングポジションの含み損が減ったとしても、ショートポジションの含み損は増えるので、差損が減ることはないんですけどね…
元のレートに戻った際に、本来なら含み損が減っているはずが、両建てしたが故に損失が固定されたままというケースですね。
両建てのデメリットとは
メリットもあればデメリットも存在します。
・取引時にかかる手数料(スプレッドなど)が倍になる。
・スワップポイントの多くが受け取りより支払いが多いので、その分を負担しなければいけない。
・両方向へのポジション全てに証拠金がかかるケース(業者)もあり、証拠金の負担が大きくなる。
両建てのデメリットは上記のようなものになります。
この中で証拠金については業者によって扱いが異なります。
両建てに対する証拠金のかかり方は業者によって違う
業者によって、両建ての際に証拠金がどのようにかかるかは多少違いが有ります。
(1)ロング、ショートのすべてのポジションに対して証拠金がかかってくるケース。
例:ロング1枚、ショート1枚の場合には、2枚分の証拠金が必要。
(2)ロング、ショートのポジションのうち、取引量が多い方に対してのみ証拠金がかかってくるケース。
例:ロング2枚、ショート1枚の場合には、ロング2枚分に対してのみ証拠金が必要。
(3)ロング、ショートのポジションが同量の場合には証拠金がかからないケース。
例:ロング1枚、ショート1枚の場合には、ロング1枚分のみに証拠金がかかる。
大きく分けると上記の3つのうちいずれか、もしくは複数を採用している業者も有ります。
(同量のポジションの場合は(3)を採用するが、どちらか一方のポジションが多い場合には(1)のすべてのポジションに証拠金がかかるようになる…といった感じ)
ちなみに私愛用口座のDMMFXでは、(1)が採用されています。
両建てをする理由とは?
多くのFX業者で両建ては可能ですが、FX業者はデメリットを挙げ両建てを推奨しない行為としています。
しかし、業者は推奨しなくとも、両建てを上手に使ってトレードされている方もいらっしゃいます。
最後に、両建てを上手に使っている人たちは、どのような理由から両建てを行うのか解説しますね。
税金対策の為の両建て
両建てを行うことで節税をすることができます。
ざっくりと説明すると、両建てしたポジションの含み損を抱えているポジションだけ年末に決済することで、前年の利益を減らすように見せるテクニックです。
ちなみに、含み益がでているポジションを年明けに決済することで、翌年の確定申告分へとまわします。
確定申告の申請期間の切れ目を上手に利用した節税ですね。
損切りの代わりに両建てする手法とは?
トレードをする上で、損切りのタイミングで両建てをする考え方です。
例えば、1万円の含み損を抱えているとします。
このタイミングで、損切りをしないで両建てをする手法もあるという訳です。
ちょっとわかりづらいですよね。
・損切りの場合、損失を確定するため純資産が1万円減ります。
・両建ての場合、含み損1万円の状態で保持します。(それ以上増えも減りもしない)
ここでいったん両建てをする事で、予想を裏切る相場の急変時に一旦休憩をするイメージでしょうか。
そして、その後、ロングorショートを新たな予想にもとづき入れて行きます。
そこで含み益になるようならポジションを順次決済していき、さらに含み損になるようなら再度逆ポジションに両建てを入れます。
その繰り返しで、利益になるまで続ける方法です。
損失を保存するという意味合いで両建てを上手く使う手法であり、一見、損切りすれば?と思ってしまいます。
しかし、人によっては、自分が取ったポジションが残っていた方が迷わずに取引出来るようです。
これは損失を出して、ロスカットを食らったあとに呆然とチャートを見ていて、ここで買えば(売れば)絶対儲かるよねーって感覚でトレードするのに近いかもしれません。
そういった時って結構当たりませんか??
ということで今回は両建てについてでした。
はずすタイミングが難しい両建てですが、上手に使ってみるのも悪くないと思いますよ!
FXは20万以上の収入から納税対象ですので、年間利益が20万を少し超えるという方は節税にも使ってみてはいかがでしょうか?
両建てしようとした際にケアレスミスで失敗した話
両建ては相場状況によっては使ってみるのもありな手法ですが、思わぬミスをしてしまう事もあるので、注意して下さい。
ケアレスミスのお話です。
スワップ運用中に一時的に両建てしようと思った事があるのですが、設定を変更しなければいけないFX会社もあるって事です。
詳しくは下記の記事に書いていますが、両建て設定OFFのままポジションを建てようとすると、綺麗さっぱりノーポジになってしまう事もありますよ~。